聖女ヴィクトリアの考察 感想(ネタバレ)ただの追放ものと侮るなかれ

小説

追放ものと言うと、ここ最近よく耳にします。

主人公は勇者パーティーにいた、あるいは貴族だった。しかし、主人公をよく思わない人物の策謀により追放されるも、主人公は何らかの力を秘めており活躍する。作品によっては見返したり、激しく復讐したり。

そういう作品がフューチャーされることもあり、追放ものはつまらないと言われることもあります。私自身は追放ものに多少の偏見は持っていたものの、なろうやカクヨムの作品は昔はよく読んでおり面白い作品もつまらない作品もあると知っていました。

だから、色々と言われている追放ものにも面白い作品はあるんだろうなぁと思いつつ、かといってここ最近はほとんど小説を読んでおらず、読んでいたとしてもSFを読むくらいでした。

ただ数日前に人類は衰退しましたのアニメをみて、そういえば原作を持っていたなぁとちょろっと読んでいたのですが、やっぱり小説という物も面白いわけですよ。当たり前ですけど。まぁそんなこともあり小説欲が沸き上がったわけです。

そこで面白い作品はないかと各地を彷徨っていたところ、角川文庫にもかかわらず追放ものを題材とした小説があるじゃないですか! 

ちなみに今回の感想を書くにあたり角川文庫からどのような作品が出版されているのか調べてみたところ、一般文芸っぽい作品が多かったもののラノベっぽい作品もそれなりにあり、実のところ本作のような作風は珍しくないと知りました。

ただ、聖女ヴィクトリアの考察を知った時はそのようなことは知らず、なろうっぽいというか追放ものが一般文芸のレーベルから出ているなんて珍しいと思ったわけです。

とまぁそんな感じでレビューの評価が非常に高く、あらすじも面白そうだったので読んでみることにしました。

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聖女ヴィクトリアの考察とはどういう物語なのか?

ネタバレありとタイトルに書いてあるので聖女ヴィクトリアの考察を未読の方はほとんどがこの記事を読むことはないでしょう。しかし、珍しいというか私とは異なる考え方をしている人間とはいるもので、世の中には面白いかどうかの確認のためにネタバレを先に知りたいという方もいるのだとか。とても信じられませんが、調べていると一定数いるんだから驚きます。

そういう方々が当記事を読んでガッカリしてほしくないので、一応ここに表面的なネタバレ込みの紹介文を書いておこうと思います。核心には至らないので、ネタバレは読みたくない人も安心してください。多分。

霊が視える少女ヴィクトリアは、平和を司る〈アウレスタ神殿〉の聖女のひとり。しかし能力を疑われ、追放を言い渡される。そんな彼女の前に現れたのは、辺境の騎士アドラス。「俺が“皇子ではない”ことを君の力で証明してほしい」この奇妙な依頼から、ヴィクトリアはアドラスと共に彼の故郷へ向かい、出生の秘密を調べ始めるが、それは陰謀の絡む帝位継承争いの幕開けだった。皇帝妃が遺した手紙、20年前に殺された皇子――王宮の謎を聖女が解き明かすファンタジー!

https://www.kadokawa.co.jp/product/322103000576/

わざわざ公式があらすじにしているところを自分で書くのは面倒くさいので引用させていただきます。大まかな流れとしては本当に公式のあらすじ通りです。だから、あらすじにピンときたのであれば購入することをオススメします。Amazonレビューの高さからも分かるように面白い作品です。あとは好みの問題ですかね。

ただ、それで終わらせてしまえば意味がないので、私が面白かったところを書いていき来ます。

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聖女ヴィクトリアの考察の面白かったところ

ヴィクトリアには生まれつき幽霊や精霊といった、普通の人間には視えない存在を視る力がありました。そのため、ヴィクトリアは前主席聖女ジオーラに見出され聖女になることになりました。

一方現在の主席聖女であるオルタナはジオーラの考え方を好んでおらず、そんな彼女の影響を受けたヴィクトリアのことも好んではいませんでした。だから、策謀と言うほどのことではありませんが、ヴィクトリアが聖女になってからなんら成果を上げていないことを理由に追放しようと目論んだのです。

ここまでくると追放ものとは何かを知っている方であればこう思うかもしれません。「ああ、いつものやつか」と。何時ものやつとは、追放された主人公が秘めたる力で無双し、追放したものに復讐するというものです。

でもご安心ください。まずオルタナはヴィクトリアを追放しようとしましたが、その儀式をする前に辺境の騎士ことアドラスと共に逃げたので厳密には聖女を辞めているわけではありません。

さらに帝国の、しかも皇室の問題を暴くとなれば相応の立場が求められます。そのためヴィクトリアは聖女としての立場を利用していました。だから、あらすじだけだと割とミスリードっぽいんですよね。でもよくよく見ると追放を言い渡されるとしか書かれていません。これ上手いですよね。

そんなわけで私は追放ものと言いましたが、実のところ追放ものではなかったりします。でもまぁ、主席聖女から追放を言い渡された上に男と逃げたとあっては追放と変わらないので、追放ものと言えば追放ものなのかな…?

話がだいぶ逸れてしまいましたが、第1のおもしろポイントは「一般的に考えられている追放ものではない」というところです。私情はあるもののヴィクトリアが成果を上げていないのは事実であり、またヴィクトリアもそのことには自覚的で、だからこそ復讐どうこうの話には発展しません。

この物語で描かれているのはアドラス関係のミステリーとヴィクトリアの精神的な成長です。そうなんです、精神の成長なんです。

これまた定番な話をすると、この手の物語は肉体であったり力であったり、ようは邪魔者を跳ねのける圧倒的な力を描きがちです。しかし、面白いことにヴィクトリアは終始視る力しかありませんでした。

例えば精霊などが視えるから精霊に協力してもらったり、何らかの力が覚醒して大暴れと言ったような展開がありません。だから、窮地に陥ってもヴィクトリアは考えなければならず、そういったことを経ることで精神的に成長し、また師であるジオーラの教えの真意に気づくことができました。

第2のおもしろポイントは「ヴィクトリアには視る力しかない」というところです。そうなると肝心のミステリーは視る力で解決するのかと思われそうですが、というか私もそう思っていました。だから、視る力とは関係なく、純粋にヴィクトリアの推理力で問題を解決したときには驚きました。

間接的には視る力が重要だったものの、幽霊に答えを聞いて「はい終わり」ではなく、証拠を積み重ねた理詰めにより全ての問題を明らかにしたんです。そのカタルシスたるや最高のものでした。

この手のファンタジーものは異能のバランスを誤ると駄作になりがちですが、聖女ヴィクトリアの考察はそこらへんがしっかりとしています。しかも、伏線が張られているため、読む者が読めば中盤には答えにたどり着くことができます。

ポンコツな私はヴィクトリアの語りによってようやく理解できたというか、なんなら何度かヴィクトリアの語りを読み返さなければ理解できなかったんですけどねw 

というわけで最後のおもしろポイントは「伏線を張っており、しっかりとミステリーをしていた」というところです。以上の文章をみて面白そうだと思ってもらえたなら嬉しいです。

以下ネタバレしかない感想になるので未読の方はご注意ください。

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ちゃんとミステリーしていて面白かった

これは上のほうにも書いてあるんですけど、今回はネタバレ込みで書きます。

てっきり幽霊に話を聞いてすべてを解決するんだと思っていました。アドラスは皇子なのかという件もそうですが、それ以上にラウザ司教殺害の件はラウザ本人に聞くんじゃないかって。

だって、そうしないとヴィクトリアの力の証明にはならないじゃないですか。そこらへんをヴィクトリアの力をもって解決して、聖女として認めてもらうみたいな展開になるんだと思っていました。しかしアドラスの件もラウザの件もヴィクトリアの視る力により解決することはありませんでした。これには本当に驚かされたものです。

しかし、作中でも語られているように視点を変えるとどうでしょう。ヴィクトリアの最大の力は視るものではなく推理力であると。
ジオーラは言っていました。ヴィクトリアの力は真実を見通すと。

見るという言葉から真実を見通すのはヴィクトリアの視る力があるからだと思っていましたが、ジオーラは一言もそのようなことは言っていませんでした。はぇ~ってなりますよね。でも実際にヴィクトリアは真実を見通したんだから凄いことです。

ただ、やっぱり視る力を持っているんだから、その力を大いに活用して問題を解決するヴィクトリアの姿も見たいわけで。そこらへんは次巻があるなら期待したいところです。一応今回もヴィクトリアの視る力がなければ呪術師に協力を頼むことができなかったので、解決に力を使っていると言えば使っているんですけどね。でも、そんなもんじゃ物足りないわけですよ。

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聖女ヴィクトリアの考察はカクヨム発

そこらへんの情報は知らずに購入したんですけど、今回感想を書くにあたり色々と調べていたところ、本作がカクヨムで書かれていた小説であることが明らかになりました。

元々のタイトル名は「無能聖女ヴィクトリア」なんですが、書籍化にあたり削除されています。改稿しているらしいので読み比べてみたかったし、続編にあたる部分はあるのか確認したかったんですけど、まぁこればかりはしょうがないですよね。

その繋がりで作者のことも調べたんですけど、聖女ヴィクトリアの考察がデビュー作という訳ではありませんでした。春間 タツキ名義では初めてなものの、焦田シューマイ名義では小説家になろうで書いていた小説を書籍化していました。しかも、なろうのほうを見ると書籍化はしていないもののかなりの作品を書かれているようでした。

色々と賞を取っているようですし、増々今後が楽しみになりました。

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コミカライズとアニメ化して欲しいなぁ

好きな作品だからこそ有名になって欲しい。何故なら、その作品について語る人が増えるから。その手段としてコミカライズやアニメ化というのは最高の手段です。アニメに関しては最高というか最高峰ですかね。難易度的に。

ただ、コミカライズやアニメ化にはリスクがあります。ミスをすると原作を駄目にしてしまうという点です。ただ漫画やアニメがつまらないだけならマシな方でしょうね。酷い場合はアニメ=原作と考えられ、読んでいない人にも原作を馬鹿にされます。

そしてそれが原作者に伝わり、筆を折るなんてことは決して珍しいことではありません。だから、不安ではあるものの、やっぱり面白い作品だからこそ多くの方に知ってもらいたいんですよね。

しかも、聖女ヴィクトリアの考察は追放ものです。今の流行りが何なのかイマイチ掴めていませんが、ニコニコ静止画あたりを見るに追放ものは人気が出やすいみたいです。

序盤とはいえ漫画にして宣伝してるんですから、角川文庫として力を入れてるだろうし、割と現実的な話なんじゃないかと思っています。そんなわけでとりあえずはコミカライズ、ゆくゆくはアニメ化に期待したいです。

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